録音設定の選び方 ― サンプルレート・ビット深度・チャンネル
設定画面に並ぶ数字が何を決めているのかを、実際の使い分けに沿って説明します。 迷ったときの結論を先に書くと、会議と取材は 48kHz・24bit・モノラルで外しません。
サンプルレート ― 1 秒間に何回測るか
マイクに入った空気の振動を、1 秒間に何回、数値へ変換するかです。48kHz なら毎秒 48,000 回。 値が大きいほど高い音まで記録できますが、人の声には 48kHz で十分です。 それ以上は容量と処理時間が増えるだけで、会話の聞き取りやすさは変わりません。
音楽や環境音を素材として残したいなら 96kHz 以上に意味がありますが、 文字起こしが目的なら上げる理由はありません。認識エンジンは内部で 16kHz へ落として処理します。
端末が実際に出す値を使ってください。 決め打ちで指定して端末が対応していないと、 再生速度とピッチが狂います。iOS 版はマイクが実際に出すレートへ自動で追従します。
ビット深度 ― 1 回の測定をどれだけ細かく記録するか
| 設定 | 向いている場面 |
|---|---|
| 16bit | 声の大きさが安定している場面。容量は 24bit の 2/3 |
| 24bit | 会議・取材の既定。小さい声と大きい声が混ざっても潰れにくい |
| 32bit float | 音量が読めない現場。後から持ち上げても割れにくいが、容量は倍 |
16bit で困るのは、遠くの小さな声が「無音に近い数値」に丸められてしまう場面です。 会議室で一番遠い人の発言が拾えないときは、まず 24bit にしてください。
モノラルとステレオ
声を記録するだけならモノラルで足ります。容量は半分、文字起こしの結果も変わりません。 ステレオが効くのは、どこから聞こえたかを残したいときです。 対談で左右に分かれて座る、環境音を含めて記録する、といった場面に限られます。
容量の目安
WAV での 1 時間あたりのおよその大きさです。
| 設定 | 1 時間 |
|---|---|
| 48kHz・16bit・モノラル | 約 346 MB |
| 48kHz・24bit・モノラル | 約 518 MB |
| 48kHz・24bit・ステレオ | 約 1.0 GB |
| 96kHz・32bit float・ステレオ | 約 2.7 GB |
WAV はファイルサイズの記録欄が 32bit のため、1 ファイル約 4GB が上限です。 96kHz・ステレオ・32bit float だと約 93 分で到達し、そこで録音は自動的に止まります。 長い収録では、一定間隔でファイルを分ける設定にしておいてください。
入力の確認
録音を始める前に、入力レベルが振れているかを必ず見てください。振れていない場合、原因はたいてい次のどれかです。
- 他のアプリがマイクを掴んでいる(通話アプリ、会議アプリ)
- Bluetooth 機器が入力として選ばれていて、そちらが拾っている
- マイクの許可が切れている
Android 版の追加設定
Android 版には、AAC での保存、入力ソースの切り替え、ノイズ抑制・エコーキャンセル・自動ゲイン、 ハイパスフィルタなどの設定があります。文字起こしを前提にするなら、加工は切ってください。 ノイズ抑制や自動ゲインは聞きやすさのための処理で、認識には不利に働くことがあります。