WAV と AAC の違い ― 録音形式はどちらを選ぶか
結論から書くと、文字起こしや編集をするなら WAV、聞き返すだけなら AAC です。 違いは「圧縮するかどうか」の一点で、そこから容量・音質・扱いやすさが分かれます。
何が違うのか
WAV は測った数値をそのまま並べた形式です。加工がないぶんファイルは大きくなりますが、 記録した情報は失われません。
AAC は、人の耳が気づきにくい部分を削って小さくする形式です(不可逆圧縮)。 削った情報は元に戻せません。聞き返すぶんには問題ありませんが、 音声認識にとっては情報が減った状態で渡されることになります。
容量の差
| 形式 | 1 時間あたり |
|---|---|
| WAV 48kHz・24bit・モノラル | 約 518 MB |
| WAV 48kHz・16bit・モノラル | 約 346 MB |
| AAC 128kbps | 約 58 MB |
| AAC 64kbps | 約 29 MB |
差は 10 倍近くあります。数百時間を端末に置いておきたいなら AAC、 1 本ずつ処理して外へ出していくなら WAV、という分け方になります。
使い分け
| 目的 | 形式 | 理由 |
|---|---|---|
| 文字起こしする | WAV | 圧縮で削れた部分が認識精度に効く。特に小さい声と子音 |
| 編集して公開する | WAV | 編集して書き出すたびに再圧縮され、劣化が積み重なる |
| あとで聞き返すだけ | AAC | 容量が 1/10 で済み、共有も速い |
| 証跡として長期保管 | WAV | 加工していない記録のほうが、後から疑義が出にくい |
ビットレートの目安(AAC)
AAC を選ぶ場合、会話であれば 64〜96kbps で実用になります。128kbps あれば、 聞き返す用途で不満が出ることはまずありません。それ以上に上げても、 声だけの録音では違いが分かりにくくなります。
アプリごとの対応
| iOS 版 | WAV のみ(16bit / 24bit 整数・32bit float)。文字起こしを前提にした構成です |
|---|---|
| Android 版 | AAC(.m4a、LC / HE、64–256kbps)と WAV(PCM16)を選べます |
よくある質問
あとから WAV を AAC にできますか
できます。逆はできません。正確には AAC を WAV にすることは可能ですが、 削られた情報は戻らないので、容量が増えるだけです。迷ったら WAV で録るのが安全です。
MP3 で保存できますか
録音時の形式としては用意していません。取り込みでは MP3 を含む一般的な形式を扱えます。
WAV だと容量が足りません
サンプルレートとビット深度を下げるほうが、形式を変えるより効きます。 48kHz・16bit・モノラルなら 1 時間あたり約 346 MB です。 それでも足りない場合は、一定間隔で分割して都度書き出してください。