インタビューをきれいに録る ― 取材・対談の録音設定

インタビューは撮り直しがききません。始めてしまえば設定を触る余裕もないので、 座る前に決めておくべきことをまとめます。

録音画面。録音ボタンと経過時間
録音中の画面

録る前に決める

置く場所

端末は話者の口とほぼ同じ高さに、二人の中間より少し相手寄りに置きます。 自分の声は近いぶん大きく入るので、相手側へ寄せてちょうど釣り合います。 カフェで録るなら、通路側ではなく壁側へ。人が通るたびに足音と会話が入ります。

形式とビット深度

WAV の 24bit を選びます。インタビューは、相手が身を乗り出して大きくなる場面と、 考え込んで小さくなる場面の差が激しく、16bit では小さい側が潰れやすくなります。 24bit なら、あとから持ち上げてもざらつきが出にくくなります。

マイクを増やすか

外部マイクを使うと確実に良くなりますが、相手が身構えることがあります。 端末を置くだけのほうが自然な話を引き出せる場面も多く、そこは取材の性格で選んでください。 Bluetooth マイクは接続が切れると録音が途切れるため、長い取材では有線が安全です。

始める前の 30 秒

  1. 録音を開始し、入力レベルが振れることを確認する
  2. 相手に「録音させていただきます」と伝える(この一言も録音に残す
  3. 機内モードにする。着信が入ると録音は止まります
  4. 残り容量を見る。24bit で 2 時間なら数 GB を見込みます

録音の同意は、書面がなくても音声に残っていれば後から確認できます。 取材の冒頭で日付・場所・相手の名前を口頭で入れておくと、ファイルが増えたときに探しやすくもなります。

録っている最中

画面を消しても録音は続きます。気になる発言があったときは、 メモを取るより時計を見て時刻を控えるほうが、後から探すのが速くなります。 文字起こしの結果は時刻付きで出るので、その数字で直接飛べます。

録ったあと

まず軽いモデルで全体を文字起こしし、話の流れをつかみます。 引用に使う箇所が決まったら、そこだけ重いモデルでやり直します。全体をいきなり重いモデルにかけると、 待ち時間のわりに使わない部分まで精度を上げることになります。

固有名詞は崩れます。取材先の社名・製品名・人名は、文字起こしの前に手元にメモしておき、 あとから突き合わせてください。

原稿にする

校正の機能で言い淀みと繰り返しを落とすと、読める形にかなり近づきます。 ただし話し言葉の癖は情報です。全部整えると人物像が消えるので、 引用部分は元の言い回しを残すかどうかを、記事の性格に合わせて判断してください。

渡す・保管する

音源を編集者やクライアントへ渡す場合、同じ場所にいるなら AirDrop がいちばん速く、 クラウドを経由しません。書き起こしはテキストファイルとして送れます。 取材音源は個人情報を含むことが多いので、渡す相手と保管期間はあらかじめ決めておいてください。

よくつまずくところ

相手の声だけが小さい

端末が自分側に寄っています。次回は相手寄りへ。すでに録れてしまったものは、 重いモデルで文字起こしすると拾える場合があります。

店内の音楽で聞き取れない

音楽と人の声は帯域が重なるため、後から分離するのは困難です。 席を選ぶ段階で決まります。スピーカーの真下を避けてください。

長時間の取材で容量が足りるか不安

一定間隔でファイルを分ける設定にしておくと、容量の見通しが立てやすく、 問題が起きたときの被害も 1 ファイルで済みます。

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